「これって更年期?」に戸惑う私へ。50代からの心と体の整え方

仕事や家庭、親の介護、実家の問題――さまざまな役目を抱えながら迎える50代。時に体や心に違和感を感じてしまうことはありませんか?

そして、「急に汗が噴き出す」「夜中に何度も目が覚める」「気分の浮き沈みが激しい」そんな悩みも。それらは、女性ホルモンの変化からくる更年期の自然なサインかもしれません。

50代は、女性の心と体が大きな転換点を迎える時期。今回はそんな50代の私たちが、更年期のつらさを越え、自分らしく、心地よく過ごすための心と体の整え方についてお届けします。

目次

「これまでと違う私」に戸惑っていませんか?

「今までと同じように動いているのに、なぜか疲れやすい」「急にイライラしたり、涙が出たり……こんな自分は初めて」そんな“なんとなくの不調”に心当たりはありませんか?

50代は、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減っていく時期。体の内側では、バランスをとろうとする小さな変化が日々起きています。これらは、体からの「今、ちょっと休もう」「整え直そう」というサインかもしれません。

もしかして、更年期?——こんな変化はありませんか?

顔や首がカーッと熱くなる(ホットフラッシュ)
夜中に目が覚める、眠りが浅い
気分が落ち込みやすくなる
肌が乾燥し、ハリがなくなってきた
デリケートゾーンのかゆみや乾燥、尿もれ
集中力の低下、物忘れが増えた気がする

これらは、更年期に差しかかる多くの女性が感じている自然な変化。「私だけじゃない」と知るだけで、少し心が軽くなりますよね。

女性ホルモンと体の関係——50代は“整え直す”タイミング

私たちの体を支えてきた女性ホルモンのエストロゲンは、骨・血管・肌・自律神経など、さまざまなところで重要な働きを担っています。しかし閉経が近づくと、このホルモンが大きく減少。その影響で体の各所で「今まで通りではいられない」変化が現れてくるのです。

それは、あなたの体の「再編成」のサイン。これからの人生をより快適に、自分らしく生きるための土台をつくる大切なタイミングなのです。

更年期の症状は人それぞれ——「焦らないこと」が大切

更年期の症状の出方は「みんな同じ」ではありません。性格やライフスタイルが違うように、人ぞれぞれ、十人十色なのです。

 ほとんど気にならない人
 日常生活に支障が出るほどつらい人
なんとなくずっと疲れている人

だからこそ、症状の強さや種類で自分を評価することや焦ることに全く意味はありません。「つらいときは、立ち止まっていい」そう自分に言ってあげることも、大切なケアのひとつです。

更年期とやさしく向き合う、整え方のヒント

体も心も、なんだか以前とちがう――50代を迎えた私たちの体には、さまざまなゆらぎが訪れます。「つらい」と感じたときこそ、自分をいたわり、見つめ直すチャンス。ここでは、更年期の変化とうまく付き合いながら、自分らしさを取り戻すためのヒントをお届けします。

無理をしすぎず、やさしく、そして確実に。あなた自身のペースで整えていくための5つのステップ、ぜひ参考にしてみてください。

① セルフチェックで「気づくこと」から始める

更年期の不調は、とても個人差が大きく、「毎日同じ」というわけではありません。だからこそ、まずは日々のちょっとした体調や心の変化に気づいてあげることが大切です。

  • 朝起きたときの気分や体の重さを、ひとことメモに残す
  • 「よく眠れたかどうか」や、「天気との関係」「疲れやすさ」を感じた日を記録しておく
  • 月経がある方は、周期や出血量、月経前後の体調の違いなども記録してみる

細かく書かなくても、「気分:3/体調:2」など、ごく簡単でOK。数日分の記録を振り返ることで、「どんなときに調子を崩しやすいのか」「生理や気圧、気温と関係があるのか」など、自分だけのリズムや傾向が見えてきます。

この“気づき”が、自分に合うセルフケアを選ぶ助けになってくれます。

② 「食べること」はホルモンケアの基本

更年期において、食事は単なる栄養補給ではありません。「心と体の調律」の役割を果たします。

女性ホルモンの材料となるのは、たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素。偏りのない、温かみのある食事を心がけましょう。

☞意識したい栄養素と食品

  • たんぱく質:卵、魚、大豆製品、鶏肉などを毎日しっかりと
  • 鉄分:レバー、あさり、小松菜、ひじきなど(貧血予防にも)
  • ビタミンB群:疲労回復に。豚肉、納豆、玄米など
  • カルシウム&ビタミンD:骨の健康に。牛乳、干ししいたけ、小魚
  • 食物繊維と発酵食品:腸内環境を整えることで、ホルモン代謝にも好影響

【注目成分「イソフラボン」&「エクオール」】

「イソフラボン」:大豆に含まれる植物性エストロゲン。女性ホルモンに似た働きをし、更年期世代の味方
「エクオール」:イソフラボンが腸内で代謝されできる成分。より安定した女性ホルモン様作用が期待されている

ただし、日本人女性の約50%は、エクオールを作る腸内環境を持っていないとされており、サプリメントでの補給が効果的です。

気になる方は、自宅でできる簡単な検査キットでエクオール産生のレベルを調べることも可能

③ 「動くこと」で、心と体にリズムを

更年期の不調をやわらげるには、「無理のない運動」が大きな助けになります。激しい運動でなくても、日々の“やさしい動き”の積み重ねでも、心身のバランスは整っていきます。

☞おすすめの運動

  • ウォーキング:1日15〜30分、ゆっくり深呼吸しながら歩いてみましょう
  • ストレッチ:朝やお風呂上がりに、関節や筋肉をやさしくほぐす習慣を
  • ヨガ・太極拳・ピラティス:深い呼吸と緩やかな動作が、自律神経の安定につながります

▶ 特に、一定のリズムで体を動かす動きは、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの分泌を促し、気分の安定にも効果的です

④ 「眠ること」は、ホルモンバランス回復の時間

更年期の女性の多くが悩む「睡眠の質の低下」。
しかし、睡眠はホルモンの調整や、心の回復に欠かせない大切な時間です。

☞良質な眠りのための工夫

  • 寝る1時間前にはスマホやPCを手放す(ブルーライト対策)
  • ぬるめのお風呂(38〜40℃)で体温を上げ、自然な眠気を引き出す
  • 寝室の環境を整える(照明は暗めに、室温は快適に)
  • ラベンダーやカモミールなどのアロマでリラックス

▶ 睡眠は「量より質」。夜しっかり休むことで自律神経とホルモンのバランス調整力が高まり、日中の気分も安定しやすくなります

⑤ 医療や専門家に相談するのも「自分を守る」選択肢

「自分でがんばるだけでは、もう限界かも」そう感じたら、ひとりで抱え込まず、専門家の力を借りることも前向きなアクションです。

更年期の不調はつらいこともあるけれど、体の変化のサインを受け取り「自分を整え直すチャンス」でもあります。自分の変化に気づいて、できることからやさしく整えていく——それが、これからの自分を大切に生きる第一歩です。

☞婦人科での更年期サポート

  • ホルモン補充療法(HRT):エストロゲンを薬で補う治療法。ホットフラッシュや不眠などの改善に効果的
  • 漢方療法:体質や症状に合わせた処方(例:加味逍遥散・当帰芍薬散など)は、体全体のバランスを整えるのに◎

▶ どちらの治療も、効果や感じ方に個人差があります。副作用や体質への影響を丁寧に相談しながら選びましょう

☞心の専門家に相談する選択も

  • 心理カウンセリング更年期コーチングなど、心の揺らぎを言語化し、整える手段も増えています。
  • 婦人科と連携した心理サポートを行う施設もあり、「薬は使わずにまず話をしたい」という方にもおすすめです。

見直してみませんか?ホルモンを乱す生活習慣

更年期を迎えた体は、ちょっとした刺激や負担にも敏感になります。「なんとなく調子が悪いな」と感じるとき、その背景には、毎日の何気ない習慣が影響していることも。以下のような行動に、あなたは心当たりありませんか?

寝る直前までスマホやパソコンを見ている

ブルーライトは脳を覚醒させ、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を妨げてしまいます。
眠る前にスマホやPCを見ていると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなってしまったりすることも。

▶眠る1時間前からは「デジタルデトックス」を。部屋の照明を落とし、読書やアロマ、軽いストレッチなど“リラックスタイム”を取り入れることで、心身が自然と睡眠モードに入っていきます。


偏った食事や、過度なダイエット

「体重をキープしなきゃ」と無理な食事制限をしていませんか?栄養不足は、ホルモンの原料が足りなくなる原因に。特に脂質やたんぱく質の不足は、エストロゲンの合成にも影響します。

また、糖質の過剰摂取は、血糖値の乱高下や体の炎症につながり、自律神経を不安定にしてしまうことも。

▶ 1日3食を基本に、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。「やせるため」ではなく、「整えるための食事」を意識することが、結果的に体と心の安定につながります。

アルコールやカフェインの摂りすぎ

コーヒーやワイン、ビールなどは、日々のささやかな楽しみのひとつ。でも、量やタイミングによっては、自律神経を刺激し、睡眠の質やホルモン分泌に悪影響を及ぼすこともあります。

特に、夜のカフェインや就寝前のお酒は、交感神経を優位にし、体の緊張状態をつくってしまいます。

▶ 午後以降はノンカフェイン飲料(ルイボスティーやカモミールティーなど)に切り替えてみる。お酒は週に数回、量も控えめにして、体にとって“休息”になるような過ごし方を選びましょう。

ストレスをため込んでしまう

「これくらい大丈夫」「忙しいから後回し」——そうして、気づかないうちに心にストレスがたまっていませんか?

ストレスが強くなると、コルチゾールという“ストレスホルモン”が分泌され、女性ホルモンの働きを妨げてしまいます。イライラ、落ち込み、眠れない……といった不調の背景には、このホルモンの乱れが隠れていることも。

▶ 「今日はちょっと疲れてるな」と感じたら、深呼吸をしてひと息。短時間でも“自分だけの時間”を意識的につくってあげましょう。言葉にして吐き出す、ノートに書き出す、誰かに話す――ストレスの出口を持つことが、心を守る習慣になります。

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心のケアは、体と同じくらい大切

「もっと元気にならなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」――そう思えば思うほど、自分を追い詰めてしまうこともあります。でも、更年期は“頑張る時期”ではなく、“やわらかく受け止める時期”。疲れたら、まずは一度立ち止まって、深く深呼吸をしてみてください。

そして、「ちょっとつらいな」と思ったときは、誰かに頼ることも選択肢のひとつです。誰かに話すだけでも、心がふっと軽くなり、安心できることがあります。

頼ること=弱さではなく、
頼ること=自分を大切にする力

心がゆるむと、体もやさしく整いはじめるのです。

最後に|50代は「私らしい人生の再スタート」

更年期は、人生のなかで「自分の声を聞き直すための時間」でもあります。不調や揺らぎは、あなたの体がくれる“気づき”のサイン。「もっと自分をいたわって」と教えてくれているのかもしれません。

誰かと比べなくていい。すべてを完璧にこなさなくていい。

「今日はこれだけできた」「このくらいでちょうどいい」そんな“やさしい基準”で、自分を整えていくことが、これからの私たちの土台になっていきます。

ゆっくりでいいんです。自分に合った整え方を見つけながら、心地よく、わたしらしく。50代は、「新しいわたし」がはじまるタイミング。一緒に、やさしく歩いていきましょう。

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