仕事に家事、育児や介護――日々を一生懸命に過ごす私たち40代女性にとって、ふとした瞬間に感じる「なんとなく不調」は珍しくないもの。「最近、疲れやすい」「気分が不安定」「肌の調子が今ひとつ」……その違和感、実は“女性ホルモンのゆらぎ”が関係しているかもしれません。
40代は、体の内側で少しずつ大きな変化が始まる節目の時期。この変化とどのように向き合うかで、これからの人生の心地よさが変わってきます。
今回は、そんな変化の中にいるあなたに向けて、「ホルモンとうまく付き合うためのヒント」をお届けします。
その“ゆらぎ”、実はとても自然なもの
40代になると、卵巣の働きが徐々にゆるやかになり、女性ホルモンの分泌が不安定になります。これは誰にでも訪れるごく自然な変化です。
女性ホルモンは20〜30代にかけてピークを迎え、その後は少しずつ減少。その影響が「イライラしやすい」「寝つきが悪い」「なんとなくだるい」などの心身のゆらぎとして現れるのです。
「なんだか違うかも？」そんなサインに気づいていますか？
次のような変化が増えてきたら、それはホルモンバランスの変化が関係しているかもしれません。
気分の浮き沈みが激しくなった
肩こり・頭痛・めまいなどが増えた
睡眠の質が下がり、夜中に目覚める
肌の乾燥や抜け毛が気になるようになった
生理の周期や量が不安定になった
理由のないだるさ、疲れが抜けにくい
「更年期かも…」と不安になる前に、まずは落ち着いて、自分自身と丁寧に向き合ってみましょう。
女性ホルモンは2種類。それぞれの違いと役割とは？
女性ホルモンには、大きく分けて2つのタイプがあります。それぞれの働きを知ることが、ケアの第一歩です。
◯ エストロゲン（卵胞ホルモン）
- 肌や髪のハリ・ツヤを保つ
- 骨密度を守り、血管をしなやかに保つ
- 脳や自律神経のバランスをサポート
“女性らしさ”や“若々しさ”の象徴ともいえるホルモンです。
◯ プロゲステロン（黄体ホルモン）
- 妊娠を助け、体温を上げる
- 水分をためこみ、むくみを起こすことも
- 気分の波や情緒のコントロールに関与
いわば、体と心を守る「縁の下の力持ち」のような存在です。
40代からは、ホルモンバランスが大きく揺れる時期
特にエストロゲンは、40代半ばを境に急激に減少しはじめます。月経周期が乱れたり、PMSが強く出たり、無排卵月経が起きやすくなることも。
その影響で、以下のような不調が現れることもあります：
生理周期の乱れや経血量の変化
情緒不安定や自律神経の不調
更年期症状（ホットフラッシュ・不眠・動悸など）
でも安心してください。ホルモンのゆらぎは「整えることができない変化」ではありません。少しずつ生活を見直していくことで、心と体はやさしく整っていきます。
気づかぬうちにやってない？ホルモンを乱すNG習慣
「ホルモンバランスを整えたい」と思っていても、日々の生活の中に知らず知らずのうちに“乱れの原因”が潜んでいることがあります。
ここでは、40代以降の女性がついやりがちな“ホルモンを乱すNG習慣”と、その理由を詳しくご紹介します。
寝る前のスマホやPC
スマートフォンやパソコンの画面から発せられる「ブルーライト」は、脳に“今は昼間”だと誤解させ、体内時計を狂わせてしまいます。
すると、睡眠ホルモンといわれるメラトニンの分泌が減少し、眠りが浅くなる・寝つきが悪くなるといった影響が。睡眠が乱れると、女性ホルモンの分泌リズムも崩れてしまうため、ホルモンバランスの乱れにも直結します。
対策：寝る1時間前には画面から離れ、読書やストレッチ、アロマでリラックスする習慣を
過度なダイエットや偏った食事
「痩せたいから」といって、極端に食事を減らしたり、炭水化物や脂質を一切抜いたりするダイエットは要注意。
実は、女性ホルモンは“脂質（コレステロール）”からつくられています。
また、ビタミンB群や鉄分、亜鉛、たんぱく質などの栄養素もホルモンの材料になるため、これらが不足すると体がホルモンを作れなくなり、ますます不調に。
対策：体に必要な栄養素をしっかり摂りながら、ゆるやかに体を整えるホルモンケア型の食事を
ストレスを抱え込む
忙しさや人間関係など、日常の中で知らず知らずのうちにたまってしまうストレス。
ストレスを感じると、体は「コルチゾール」というストレスホルモンを分泌しますが、これが女性ホルモン（特にエストロゲン）の働きを妨げるといわれています。
また、ストレスは自律神経にも影響を与えるため、睡眠の質の低下、気分の不安定さ、疲れがとれにくい状態を引き起こすことも。
対策：まずは「ため込まない」こと。小さなことでも誰かに話す、深呼吸や軽い運動でこまめにリセットすることが大切です
カフェインやアルコールの摂りすぎ
朝のコーヒー、夜の晩酌…心をほっとさせてくれる存在ですが、過剰に摂取するとホルモンバランスに悪影響を与えることも。
アルコールは、肝臓でのホルモン代謝に影響を与えるため、ホルモンの分泌リズムを乱すことがあります。
カフェインは交感神経を刺激し、自律神経を緊張させる作用があるため、睡眠の質が低下したり、気持ちが落ち着かなくなったりする原因に。
対策：カフェインは午後3時以降は控えめに。アルコールは週に数日は“休肝日”をつくるのがおすすめです
気づいたときが整えどき。これらのNG習慣を少しずつ見直していくことで、ホルモンバランスもやさしく整っていきます。
完璧を目指さなくても大丈夫。自分をいたわる小さな選択が、未来のあなたを守ってくれますよ。
今日から始めたい！ホルモンを整える3つの習慣
女性ホルモンは、日々の生活リズムや心身の状態と深くつながっています。「不調を感じたときだけ対処する」のではなく、「毎日少しずつ整えておく」ことが、ゆらぎにくい体をつくる近道。
ホルモンは一晩で整うものではありません。だからこそ、毎日の小さな積み重ねが、未来の心地よさへとつながっていきます。
1．食事でホルモンの土台を作る
私たちの体は、食べたものでできています。女性ホルモンも例外ではなく、「コレステロール」や「ビタミン・ミネラル」といった栄養素を材料にして作られるため、日々の食事がとても大切です。
良質なたんぱく質（卵・魚・豆腐・鶏むね肉など）
→ ホルモンや神経伝達物質の材料になります。
ビタミンB群（玄米・レバー・にんにく・納豆など）
→ 自律神経やホルモンの合成に欠かせない“潤滑油”的存在。
鉄分・亜鉛（あさり・赤身の肉・ひじき・かぼちゃの種など）
→ 酸素や栄養を全身に巡らせ、ホルモンの働きを支えます。
大豆イソフラボンに注目
納豆・豆乳・豆腐などに含まれる「大豆イソフラボン」は、エストロゲンに似た働きをする植物性ホルモンとして知られています。女性ホルモンの減少による不調をやさしくサポートしてくれる心強い味方です。
▶ 話題の成分「エクオール」とは？
大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換されて生まれる成分「エクオール」は、よりエストロゲンに近い作用を持ち、更年期症状の緩和や骨密度の維持にも効果が期待されています。
ただし、日本人女性の約半数はエクオールを自力でつくれないといわれており、尿検査での確認やサプリメントでの補給が選択肢となります。
2．軽い運動で“リズム”を整える
運動は「代謝を上げる」「筋肉をつける」だけでなく、ホルモンの分泌や自律神経の調整にも影響しています。激しい運動でなくても大丈夫。大切なのは、「気持ちよく動くこと」と「毎日少しでも続けること」です。
こんな運動がおすすめ
1日15〜30分のウォーキング
→ 一定のリズムで歩くことが、脳内で“幸せホルモン”セロトニンの分泌を促進します。
ヨガやストレッチ
→ 深い呼吸とともに行うことで、副交感神経が優位になり、心身の緊張をゆるめる効果があります。
ラジオ体操や軽いダンス
→ 朝や夕方など、生活の中に無理なく取り入れられる気分転換にぴったり。
ポイントは「頑張りすぎない」
運動は“続けること”が何より大切。「毎日やらなきゃ」と気負わず、「今日は5分だけ」といったゆるやかな継続を心がけましょう。
3．質のよい睡眠で、ホルモンを再生モードに
睡眠中、体は「修復」と「調整」のモードに入ります。
とくに夜間の眠りは、ホルモンの分泌や自律神経の整え直しに欠かせない時間です。
「寝ても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」といった状態が続くと、ホルモンバランスはじわじわと乱れていきます。
質のよい睡眠のための習慣
- スマホ・PCは就寝1時間前にオフ
→ ブルーライトを避け、メラトニンの分泌を促進。 - ぬるめ（38〜40℃）のお風呂に15分
→ 体の深部体温がいったん上がることで、自然な眠気が訪れやすくなります。 - ラベンダー・カモミールなどのアロマを活用
→ 副交感神経を優位にし、リラックスをサポート。 - 寝る前の“ルーティン”を決める
→ 音楽を聴く、日記を書くなど、「眠りスイッチ」を習慣づけるのも◎。
睡眠は “量”より“質”を意識して
たとえ睡眠時間が6時間程度でも、深くて質の高い眠りがとれれば、体も心もぐっと回復します。
「眠ることは、最高のホルモンケア」といっても過言ではありません。
小さな習慣を、コツコツと。ホルモンバランスは、“日々の積み重ね”によってやさしく整っていきます。
焦らず、無理せず、自分のペースで始めてみてくださいね。次の自分のために、今日からひとつ、やさしい選択をしていきましょう。
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自分に合ったケアで、ゆるやかに整えていこう
ホルモンの変化と向き合うとき、「こうしなければ」「完璧にやらなきゃ」と思い詰める必要はありません。
年齢や体質、生活リズムによって、合うケア方法は人それぞれ。
正解がひとつではないからこそ、大切なのは**「自分に合った方法」を、無理なく続けること**です。
「これはちょっと続けられそう」「心地いいな」と感じることから始めてみましょう。
「体の内側からサポート」という“選択肢”も
日々の生活習慣に加えて、ホルモンのゆらぎをやさしく支えてくれるサポートアイテムや医療的ケアも、必要に応じて取り入れてみましょう。
エクオールサプリメント
「大豆イソフラボン」から腸内で変換される成分であるエクオール。更年期症状の緩和や骨密度の維持、美肌のサポートにも注目されています。
ただし、日本人女性の約50％は腸内でエクオールを作る腸内細菌を持っていないとされており、必要に応じてサプリメントで補うことが選択肢に。
- 尿検査でエクオールをつくれるか調べることも可能です
- 市販のサプリメントで、毎日手軽に摂取できます
漢方薬（からだの“めぐり”を整える）
東洋医学では、ホルモンの不調を「気・血・水」のバランスの乱れと捉え、体質に合わせてやさしく整えるのが特徴です。特に、以下の漢方薬は更年期の女性に多く処方されています。
- 加味逍遥散（かみしょうようさん）
気分のイライラ・不安感・冷え・肩こり・生理不順などに。感情の波を穏やかにしてくれます。 - 当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）
冷え性・むくみ・疲れやすさ・貧血など、体力が低下しているタイプにおすすめ。
漢方は即効性よりも体質改善を目的とするため、継続して服用することでじんわりと効果を感じられることが多いです。
市販薬でも購入できますが、体質に合わない場合もあるため、漢方薬局や婦人科での相談がおすすめです
婦人科や薬剤師への相談も大切
「こんなことで受診していいの？」と思ってしまう方も多いのですが、
更年期やホルモンのゆらぎは、れっきとした“医療の対象”です。
- 月経の乱れや止まらない疲れ
- 強いイライラや落ち込み
- のぼせやホットフラッシュなどの不快感 など
困ったときは、婦人科医や女性の健康に詳しい薬剤師に気軽に相談してみましょう。
症状の緩和や、生活スタイルに合ったアドバイスがもらえるはずです。
気持ちのケアも、体と同じくらい大切です
ホルモンの変化は、体だけでなく「心」にも影響を与えます。「理由もなく泣きたくなる」「やる気が出ない」――そんな自分を責めていませんか？
でも、その揺れこそが、体が「ちょっと休もう」と教えてくれているサイン。無理に「前向きになろう」とする必要はありません。
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自分の心に、こんな言葉をかけてみてください
「今日はちょっと疲れてるだけ」
「がんばらなくても、ちゃんと私でいられる」
「休むことは悪いことじゃない」
ひとりで抱え込まないで
私たちは「自分でなんとかしなきゃ」と思いがちですが、ときには誰かに頼ることも、自分を大切にするための選択肢です。
家族や友人、専門家に気持ちを打ち明けることが、「私、ひとりじゃない」と感じられるきっかけになるかもしれません。心がふっとゆるんだとき、不思議と体の調子も整ってくるものです。
ホルモンケアは、完璧じゃなくてもいい。
“今の自分にやさしく寄り添うこと”が、いちばんのケアになります。
最後に｜「不調」は体からのやさしいメッセージ
「なんとなく不調」は、心と体があなたに気づいてほしいと送ってくれているメッセージかもしれません。戦うのではなく、寄り添いながら整えていく。そんなふうに、ホルモンと付き合っていけたら、きっともっと“私らしい毎日”に出会えるはずです。
40代という大切な時期を、もっとしなやかに、もっと心地よく。私たちと一緒に、自分を大切にする習慣をもっと大事にしていきませんか？
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