「それって……ちょっと恥ずかしいことだと思ってた」セルフプレジャーという言葉に、なんとなく戸惑いを覚える方もいるかもしれません――そう感じていたのは、私たちFEMILIE編集部のメンバーも同じでした。
「性のことって、パートナーとするものでしょ?」「一人で触れるなんて、どこか後ろめたい…」「ましてや道具なんて……ちょっと引いちゃうかも」
でも、その迷いや違和感の奥にあるのは、もしかすると「誰からも教わらなかった」まま大人になった、わたしたち自身の姿かもしれません。今回は、誰にも聞けなかったセルフプレジャーについて、やさしくお届けします。
セルフプレジャーとは?まずは“誤解”をほどいてみよう

セルフプレジャーとは、自分自身の体にやさしくふれ、心地よさや快感、安心感を感じる行為。
けれど本質は、単なる“性行為の代替”ではありません。
実際、近年の研究では、セルフプレジャーには以下のような多面的な効果があることが明らかになっています。
日々のストレスや不安の緩和
セルフプレジャーの時間には、心を穏やかに保つ作用があり、日々のストレスや不安の緩和に役立つとされています。オキシトシンやエンドルフィンといった“安心や幸福感を高めるホルモン”が分泌され、気持ちが落ち着きやすくなるのです。
自律神経のバランスが整う
セルフプレジャーにより深いリラックス状態に導かれることで、イライラ・不眠などの軽減にもつながるといわれています。筋肉の緊張がゆるみ、自律神経のバランスが整い、眠りの質の向上や生理前の不調(PMS)の緩和が期待できます。
めぐりをサポート
骨盤底筋がやさしく刺激されることで、血流が促進。デリケートゾーンのうるおいやハリの維持にも役立ちます。更年期に向けて気になりやすい乾燥感や萎縮感の予防にも。
自分にやさしくなれる
“性に対する前向きな感覚”が育まれ、自分の感情や感覚に対して自然とやさしくなれます。自分自身の心と体を肯定的にとらえる力(自己受容)を高めるきっかけにもなります。
「性的なこと=恥ずかしい」という思い込みをいったん横に置いてみると、セルフプレジャーは自分の心と体の両方をケアするセルフメディスンといっても過言ではないほど、私たちの心身の健やかさに役立つ存在なのです。
日本は遅れてる?海外のセルフプレジャー事情

日本では「性=タブー」視する文化が根強く、家庭や学校でセルフプレジャーに関する知識が教えられる機会はほとんどありません。
一方で、海外ではその捉え方が大きく異なるのです。
- アメリカやスウェーデンでは、学校教育に「セルフタッチ」の大切さが含まれる
- 医療の現場では、更年期や不眠、性機能の低下に対してセルフプレジャーが処方されることも
- フェムテック先進国では、セルフプレジャーは“女性の自己尊重”と位置づけられ、美容・健康の一環として浸透
“セルフプレジャー=恥ずかしい”という思い込みは、文化的背景によるもの。
そのフィルターを少しずつ外していくことで、私たちももっと自由に、自分自身を大切にできるようになるのかもしれません。
セルフプレジャーは、「心と体がつながる」ひととき

セルフプレジャーは、他人の目や評価のない、自分とだけ向き合える時間です。
それは、“快感を得ること”よりもむしろ、“自分を知る”ことに意味があるのです。
たとえば、触れることへの抵抗や緊張に気づくと、それはこれまでの思い込みや経験が作った“こころの防御”かもしれません。
その内側にやさしく触れることで、本来の感受性や安心感を取り戻していくプロセスが始まりまるのです。
今どきのプレジャーグッズは、美容アイテムのようにスマート

「プレジャーグッズ」と聞くと、ちょっと過激なものを想像しがちですが、近年のフェムテック市場では驚くほど洗練されたデザインが増えています。
- 北欧ブランドのようなミニマル&おしゃれな外観
- 静音設計、USB充電式、抗菌素材など清潔で扱いやすい設計
- 吸引式・振動式・温熱タイプなど、繊細な刺激を提供する機能性
実際に編集部メンバーが初めて使ったのは、手のひらサイズの吸引タイプ。
ふんわりとした感触のあと、静けさのなかで気づいたそうです。
「想像してたのとは全然違ってびっくり!」「概念が変わった」
セルフプレジャーとは、「自分を尊重する」という行為

「こんな年齢で…」「欲求を持つことが恥ずかしい」「満たされないなんて、どこか弱い気がする」
そんな思いに縛られていた時期も、私たちにはありました。
でも今はこう考えています。
“自分を幸せにする力を、自分自身の中に持っている”
それを思い出すための行為が、セルフプレジャーなんだと。
他人に与えられるのではなく、自分の心と体をていねいに扱い、そっと寄り添う。それが、女性が本来持つ「自己治癒力」なのかもしれません。
今日からできる、やさしいプレジャーの始め方【3ステップ】

STEP1|「今日は、ふれてみたい」と思える日を選ぶ
疲れていない夜、気分が落ち着いているとき。
「少し自分をいたわりたいな」と感じた日が、はじめどきです。
STEP2|空間を整える
やわらかい照明、心地よい音楽、ふわっと香るアロマ。
五感がほぐれる環境は、体も心もゆるめてくれます。
STEP3|目的は「快感」より「気づき」
触れてみて、なにも感じなくても大丈夫。「今、私はどう感じている?」と問いかけてみてください。
“気づく”ことが、もっとも大切なセルフケアです。
最後に | 自分に触れるのは、恥ずかしいことじゃない。

それは、自分を取り戻すための「静かな革命」セルフプレジャーは、決して後ろめたいものではありません。
- 「私はここにいる」と、自分を思い出す時間
- 忙しさに埋もれ、後回しにしてきた“わたし”を取り戻す時間
- 誰かのためではなく、“わたしのため”に生きると決める時間
「自分にふれること」=「自分を愛すること」それは、化粧や運動や食事と同じくらい、女性にとって大切な“セルフラブ”のひとつです。
だから、恥ずかしがらなくていい。静かで、あたたかく、力強いこの時間が、あなたの毎日を少しずつ、優しく整えていってくれるはずです。