PMS？更年期？見分け方と40代女性のホルモンの変化を徹底解説

「最近イライラしやすい」「眠れない夜が増えた」そんな変化に「これってPMS？それとも更年期？」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。40代はホルモンバランスが大きく変わり始める時期。PMSと更年期の症状はよく似ているため、どちらか見分けがつきにくいのです。

この記事では、そんな不調の原因をひもときながら、女性ホルモンの変化やセルフチェックの方法、今できる対処法などをやさしく解説していきます。あなたを悩ませる「なんとなく不調」の正体や、解決のヒントを見つけてくださいね。

「なんとなく不調」の背景にあるホルモンの変化とは？

40代に差しかかると、多くの女性が「理由はよくわからないけれど、最近ちょっと調子が悪い」と感じる瞬間を経験します。たとえば、次のような症状に心当たりはありませんか？

これらの「なんとなく不調」の背後には、多くの場合「女性ホルモンの分泌のゆらぎ」があります。

女性の心と体は、2つの主要なホルモン「エストロゲン（卵胞ホルモン）」と「プロゲステロン（黄体ホルモン）」のバランスによって保たれています。しかし、40代に入ると卵巣機能が少しずつ低下し、これらのホルモンの分泌が不安定に。この変化が、PMS（月経前症候群）や更年期症状・プレ更年期症状として現れるのです。

「つらいのは気のせいじゃない」——まずは、体の内側で起こっている仕組みに目を向けてみましょう。

女性ホルモンの働きとバランスの崩れ

女性の体を支えるホルモンには、2つの主役の存在があります。

ホルモン名	主な働き	心身への影響
エストロゲン（卵胞ホルモン）	肌・骨・血管・脳・自律神経など、女性の健康と若々しさを支える	美肌、骨密度維持、情緒の安定、自律神経の調整
プロゲステロン（黄体ホルモン）	妊娠の準備、基礎体温の上昇、水分や塩分の保持	眠気、むくみ、情緒の不安定、食欲の変化

この2つのホルモンは、生理周期にあわせてリズムよく分泌されていますが、40代になるとそのリズムが少しずつ乱れ始めます。そこにストレスや睡眠不足などの影響も加わると、心身のバランスがさらに崩れやすくなるのです。

PMSと更年期はどう見分ける？

PMS（Premenstrual Syndrome＝月経前症候群）も、更年期も、どちらも女性ホルモンの変化によって起こる不調ですが、「いつ・どのように起こるか」が大きく異なります。

比較項目	PMS（月経前症候群）	更年期
発生時期	排卵後〜月経前（周期に関連）	閉経の前後約10年間（平均45〜55歳）
主な原因	プロゲステロンの急激な変化	エストロゲンの持続的な減少
主な症状	イライラ、むくみ、落ち込みなどが周期的に起きる	ほてり、動悸、不眠、情緒不安などが周期に関係なく出現
症状の持続	月経開始とともに軽減することが多い	数週間～数ヶ月にわたって続くことも
起こりやすい年齢層	20〜40代	45歳以降

ポイントは、「症状が起きるタイミング」と「持続時間」です。周期に合わせて毎月繰り返す場合はPMSの可能性が高く、周期に関係なく長く続く場合は更年期のサインかもしれません。

「プレ更年期」とは？本格的な変化の予告編

40代前半〜半ばにかけて、「まだ生理はあるけれど、なんだかおかしい」と感じる時期があります。この期間はプレ更年期と呼ばれ、ホルモン分泌の不安定さが始まるタイミングです。

プレ更年期の代表的なサイン

プレ更年期は、体が次のステージへ移行しはじめているサイン。この時期に、自分のリズムに気づき、いたわる習慣を取り入れることで、更年期本番を穏やかに乗り切る準備ができます。

PMSと更年期：ホルモンの動きから見る違い

PMS（月経前症候群）と更年期は、現れる症状は似ているものの、ホルモンの動きや体の状態は大きく異なります。

PMS時のホルモン状態（生理前）

PMSは、生理が始まる1〜2週間前、つまり「黄体期」と呼ばれる時期にあらわれる心身の不調です。この時期、体内では「プロゲステロン（黄体ホルモン）」が急激に分泌されます。

プロゲステロンは、妊娠に備えて子宮内膜を整える役割がある一方で、体温や水分バランス、感情の変化にも影響を与えます。この「プロゲステロンの波」が、感情の浮き沈みや体の不快感が生じやすくさせるのです。つまり、妊娠に備えた体の変化が心身の揺らぎにつながるといえます。

更年期時のホルモン状態

更年期は、閉経の前後10年間（平均で45〜55歳ごろ）にかけて訪れる人生の大きな節目です。この時期の最大の変化は、エストロゲンの減少。卵巣の機能が少しずつ低下し、エストロゲンが安定して分泌されなくなることで、体温調節や自律神経のバランスが乱れやすくなります。

また、プロゲステロンも次第に分泌されなくなるため、ホルモン全体のバランスが大きく崩れてしまいます。結果、ほてり（ホットフラッシュ）や動悸、めまい、不眠、情緒の不安定さなど、さまざまな症状が現れ、長期間にわたって続くこともあるのです。

このホルモンの急激かつ持続的な減少は、自律神経や脳の機能、感情の安定に深く影響を及ぼします。結果として、ほてり、不眠、情緒不安定など多岐にわたる不調が現れます。

セルフチェックで体のサインを見逃さない

「なんとなく不調だけど、年齢のせいかな？」と見過ごしてしまいがちな心と体の変化。でも、その“なんとなく”を見逃さずに記録しておくことは、自分の体と向き合うための第一歩です。

PMSなのか、更年期のはじまりなのか——見極めるには「タイミング」と「症状の出方」を観察することがカギになります。体の声に気づくために、まずは日々の小さな変化をセルフチェックしてみましょう。

1．生理と症状のタイミングを記録

まずは、自分の「体調の傾向」を知ることが大切。スマホのアプリなどを使って、生理日や体調の変化、感情の波などをメモしてみましょう。数週間～数ヶ月続けてみると、自分の体のリズムが見えてきます。

2．年齢と月経パターンを確認

年齢や月経パターンからも、PMSか更年期かを知る手がかりが得られます。

病院へ行くタイミングと相談のポイント

「ちょっとつらいけど、わざわざ受診するほどではないかも…」そう迷っている方も少なくありません。

けれど、PMSや更年期の不調はがまんするものではなく、適切に対処すれば改善できるケースが多いのです。特に、心身の状態が日常生活に支障をきたすほど続いている場合は、早めに専門医に相談することが大切です。

受診を検討したほうがよいサイン

こうした変化が見られたときは、体からのSOSサインかもしれません。

受診前にまとめておくとスムーズな情報

診察を受ける際には、以下の情報をメモして持参するとスムーズです。

あなたに合ったケア・治療の選び方

PMSや更年期の不調は、症状の出方や程度に個人差があります。だからこそ、「みんなと同じ対処法」よりも、「自分に合った方法」を見つけることが大切です。

PMS（月経前症候群）のケア

PMSは、月経前のホルモンバランスの変化が原因で起こる一時的な不調です。
不快な症状をやわらげるためには、ホルモンの波をなだらかに整えたり、心身の緊張をゆるめることが大切です。

ホルモンバランスを整える治療

 　低用量ピル
排卵を抑えてホルモンの急変を緩やかにし、PMSの症状を軽減します。副作用やリスクもあるため、医師とよく相談して選びましょう。

栄養・サプリメント

 　ビタミンB6：セロトニンの合成を助け、気分の安定に役立ちます

 　カルシウム・マグネシウム：神経の興奮を抑え、筋肉の緊張やイライラにアプローチ

日常でできるケア

小さなセルフケアでも、毎日続けることで心身の安定につながっていきます。

更年期のケア

更年期は、ホルモンそのものの分泌が減っていく「体の構造的な変化」の時期。長期的に心と体を整えていく視点が必要になります。

ホルモンバランスを整える治療

 　ホルモン補充療法（HRT）
減少したエストロゲンを外から補うことで、自律神経の乱れや更年期特有の症状を軽減。医師の診断のもと、副作用やリスクを確認しながら進めましょう。

東洋医学・漢方のサポート

生活習慣の見直しでセルフケアを

「これなら続けられそう」というものから、少しずつ取り入れてみて。心と体の声に耳を傾けながら、自分にやさしい選択をしていけるといいですね。

最後に｜変化に気づくことが未来を守る第一歩

40代は、体も心も新しいステージへと向かっていく過渡期です。PMSも更年期も、ホルモンの自然な変動によって起こるものであり、決して“異常”ではありません。けれど、変化に気づき、正しく向き合うことで、不調を最小限にとどめ、自分らしい毎日を取り戻すことができます。

今の自分の状態を知ること。そして、必要なときに助けを求めること。それは、未来の自分を守る大切なセルフケアです。あなたが安心して過ごせる毎日を築いていけるよう、あなたの体の声に、今日からそっと耳を傾けてみてくださいね。